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車にGPS機器を仕掛けて追跡すると違法か合法か? 問われる罪とは?

2022年03月10日
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車にGPS機器を仕掛けて追跡すると違法か合法か? 問われる罪とは?

警視庁の調べによると、令和2年中に警視庁管内で受理したストーカー相談の件数は1232件で前年からマイナス30件の微減となりました。一方で、警告495件、禁止命令137件、ストーカー行為での検挙126件と、いずれも増加しています。全体的な認知件数は減少しているものの、行為の悪質化や危険度の高さから、積極的な取り締まりが展開されているといえるでしょう。

令和3年には改正ストーカー規制法が施行され、新たに無断でのGPS機器設置や対象者の位置情報の取得が規制に加えられました。たとえば、意中の相手の車に無断でGPS機器を仕掛けて行動を監視するといった行為は規制対象に含まれます。

それでは、パートナーの不倫を調べるために居場所を確認しようとして、無断でGPSによる位置情報を取得する行為に法律上の問題はないのでしょうか?本コラムでは「車にGPS機器を仕掛ける行為」の違法性や、問われるおそれのある罪について、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、相手の車に無断でGPS機器を仕掛けると問われるおそれのある罪

特定の人物の行動や居場所を把握する目的で、相手に知られないように車にGPS機器を仕掛ける行為は、これからご説明する罪を犯すおそれがあります。

  1. (1)ストーカー規制法違反

    恋愛感情やその他の好意の感情、またはこれらが満たされないことによって生じた怨恨(えんこん)の感情から「つきまとい等」に該当する8つの行為を繰り返しておこなうと、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)に違反するストーカー行為として処罰されます。

    従来、GPS機器による行動監視は規制対象外でした。

    ところが、GPS機器を悪用したストーカー事案が発生したことから、令和3年施行の改正ストーカー規制法では、相手に無断でGPS機器などを仕掛ける行為が規制されることになりました。

    この改正では、GPS機器などを仕掛ける行為だけでなく、GPS機器などを用いて無断で相手の位置情報を取得する行為も規制対象としています

    ストーカー規制法に違反してストーカー行為をはたらいた場合は以下の刑罰を科せられる可能性があります。

    • 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(ストーカー規制法第18条)
    • 禁止命令に違反してさらにストーカー行為をはたらいた場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金(ストーカー規制法第19条)


    なお、GPS機器などに対する規制は、令和3年8月26日から施行されています。

  2. (2)迷惑防止条例違反

    ストーカー規制法はあくまでも恋愛感情・その他の好意の感情、またはこれらが満たされないことによって相手に恨みを持っている場合のつきまとい等やストーカー行為を規制するものです。

    恋愛感情や好意の感情などに基づかない単純な怨恨による行為であれば、ストーカー規制法違反には問われませんが、都道府県が定める「迷惑防止条例」に違反するおそれがあります。

    各都道府県によって細かい規制内容には多少の違いがあるものの、ほとんどの自治体でストーカー規制法の「つきまとい等」と同様の行為を禁じており、その対象は恋愛感情・好意の感情を必要としません。

    特定の者に対するねたみ、恨みといった悪意の感情を充足する目的による行為であれば処罰の対象となります。

    相手の車にGPS機器を仕掛けることで行動を監視すれば迷惑防止条例が禁止している「見張り」などに該当する可能性は高いでしょう

    迷惑防止条例違反の罰則は自治体によって異なりますが、東京都の迷惑防止条例では1年以下の懲役または100万円以下の罰金が規定されています。

  3. (3)刑法の住居侵入罪・建造物侵入罪

    GPS機器を仕掛けるために相手のガレージやマンションの駐車場などに立ち入ったりすると、刑法第130条の住居侵入罪、または建造物侵入罪に問われるおそれがあります。

    住居侵入罪や建造物侵入罪は、いわゆる、不法侵入と呼ばれる犯罪です。

    一般的には住宅やマンションの部屋などの内部に侵入する行為をイメージしがちですが、住宅・マンションなどに付属して塀やフェンスなどで囲まれている場所は「囲繞地(いにょうち)」と呼ばれ、住居侵入罪・建造物侵入罪の対象となります。そのため、平置きの駐車場であっても住居侵入罪・建造物侵入罪の対象となりえるので注意が必要です。

    ここで問題となりやすいのが「夫婦が別居している場合」です。たとえば、離婚を前提に夫婦が別居し、夫は新居を構え、夫名義の住宅に妻が住んでいるケースでは、夫が妻方に侵入すれば住居侵入罪が成立します。

    したがって、住宅の名義などにかかわらず、実際に管理している者の意思に反して立ち入れば不法な侵入となってしまうので注意が必要です

    住居侵入罪・建造物侵入罪が成立した場合は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

  4. (4)軽犯罪法違反

    住居侵入罪・建造物侵入罪が成立しない場合でも、立ち入り禁止の場所に無断で立ち入ると「軽犯罪法」の違反となるおそれがあります。

    塀やフェンスなどで囲まれていない場合でも「居住者以外の立ち入り禁止」といった立て看板や三角コーンなどで立ち入り禁止の意思を表示している場所に立ち入れば、軽犯罪法違反となる可能性があります。

    軽犯罪法違反の罰則は拘留または科料です。拘留は30日未満の刑事施設への収容、科料は1万円未満の金銭徴収であり、わが国の法律で定められている刑罰としてはもっとも軽いものですが、前科がついてしまうことに変わりはないので軽視してはいけません。

  5. (5)刑法の器物損壊罪

    GPS機器を仕掛ける際に車の一部分を破損させるなどの行為があれば、刑法第261条の「器物損壊罪」が成立します。

    たとえば、GPS機器を仕掛けるために車の底面の一部に穴を開けたり、ビスなどで固定したりといった行為は、器物損壊罪に問われる危険が高いでしょう。

    器物損壊罪が成立すると、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科せられます。

    なお、器物損壊罪は損壊の故意がある場合に成立する犯罪です。たとえばGPS機器を仕掛けようと車に近づいた際に誤って擦り傷をつけてしまったなどのケースでは、故意がないため器物損壊罪には問われません。

2、相手のスマホにアプリを仕掛けてGPSで監視する行為は合法か?

近年では、行動を監視したい人物のスマートフォンにインストールすることでGPS機能を用いた位置情報などを取得できるアプリケーションも存在しています。相手のスマホに無断でアプリを仕掛ける行為も、GPS機器を仕掛けるのと同様に罪に問われてしまう危険があるので注意が必要です。

  1. (1)無断でアプリをインストールすることで罪に問われる危険がある

    アクセス権限を持たない者が他人のID・パスワードを利用してサーバーやネットワークに侵入すると、不正アクセス禁止法で禁じられている不正アクセス行為となります。

    不正アクセス禁止法第3条は、不正アクセス行為について「何人(なんぴと)」であっても禁じているため、たとえば夫婦・家族・交際相手に対する行為であっても違反です

    不正アクセス行為をはたらいた場合の罰則は3年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

    また、遠隔操作アプリなどを悪用して相手のスマホを操作し、位置情報を発信するなどの行為は、刑法第168条の2の不正指令電磁的記録取得・供用罪に問われます。3年以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されているうえに、相手に気付かれて位置情報の取得が未遂で終わった場合でも罪に問われるので注意が必要です。

  2. (2)プライバシー侵害の責任を問われるおそれもある

    仮に不正アクセス禁止法違反とならなかった場合でも、位置情報や行動範囲などはきわめてプライバシー性の高い情報なので、不正に入手すればプライバシー侵害となるおそれがあります。

    プライバシー侵害は必ずしも刑法などの刑罰法令に触れるわけではないので、犯罪とはいえないこともありますただし、他人のプライバシーを侵害すれば賠償責任を問われる危険があるため注意が必要です

3、無断で入手したGPS記録は証拠になるのか?

パートナーの不倫の証拠をつかみたいなどの理由でGPS機器を用いた場合は、入手した位置情報を糾弾の材料として活用したいと考えるでしょう。

しかし、相手の車に無断でGPS機器を仕掛けて入手した位置情報は、法律の定めに反して得た証拠ですから、たとえ決定的な内容であっても裁判では証拠として認められないおそれがあります。

そもそも、不倫などのケースではGPSによって得られた位置情報だけを証拠として責任を認めさせるのは困難です。パートナーの不貞行為を証明するには、ラブホテルの出入りをとらえた写真・画像や、不貞行為を決定づけるメッセージのやり取りなども重視されます。位置情報を唯一の証拠と考えないようにしましょう。

4、GPSの違法性でお悩みなら弁護士に相談を

意中の相手の居場所や行動を知りたいと考えて相手の車にGPS機器を仕掛けてしまった、パートナーの不倫を疑っているのでGPS機器を仕掛けて証拠をつかみたいが法的に問題がないか不安を感じるといったお悩みがある方は、弁護士への相談をおすすめします。

  1. (1)合法・違法を正確に判断できる

    弁護士に相談して詳しい事情を説明すれば、GPS機器を仕掛ける行為や位置情報の取り扱いについて、法律に照らし合法なのか、それとも違法なのかを正確に判断できます。合法であればその後はどのように証拠として活用できるのか、違法であれば今後はどのように解決して逮捕や刑罰を防ぐべきなのかのアドバイスが得られるでしょう。

  2. (2)相手との交渉を依頼できる

    GPS機器を仕掛けた相手からストーカーや不法侵入などの疑いをかけられてしまい、警察に届け出がなされると、犯罪の容疑者として捜査の対象となります。

    刑事裁判で有罪判決が言い渡されれば刑罰を受けるだけでなく前科がついた状態になり、会社を解雇される、学校から退学処分を受ける、今後の就職などで資格制限を受けるといった不利益を受ける危険があるので、円満な解決を目指したいところです。

    相手とのトラブルが刑事事件に発展してしまった、または刑事事件に発展するおそれがある場合は、弁護士に相手との示談交渉を一任するのが得策です。すでにトラブルに発展している相手と直接交渉を持つことは大変危険です。

    交渉しようと連絡をすれば「つきまとい等」とみなされてしまい、粘り強く交渉していると刑法の脅迫罪や強要罪に問われるおそれがあります。

    示談成立の成功率を高めるためにも、自力での交渉は避けて弁護士に一任しましょう。

  3. (3)法的措置のサポートを依頼できる

    パートナーの不倫などを疑っているのであれば、GPS機器を仕掛けて証拠をつかむことにこだわらず、ほかの証拠によって明らかにするほうが賢明です

    GPS機器を仕掛ける行為は状況次第で合法であったり、違法になったりしますが、いずれにしても「位置情報がその場所を示した」というだけで、決定的な証拠にはなり得ないといったケースは少なくありません。

    離婚や慰謝料請求といったトラブルで有利な展開を期待するなら、パートナーの不貞行為を明らかにする証拠をつかみ、調停や訴訟といった裁判所の手続きを活用することになります。

    裁判所の手続きを含めた法的措置は煩雑な面が多く、個人での対応は困難です。有利な展開を期待するなら、経験豊富な弁護士のサポートは欠かせません。

5、まとめ

居場所や行動範囲を知るために、相手の車に無断でGPS機器を仕掛ける行為は、自分と相手との関係性次第ではあるものの、犯罪に該当してしまう危険があります。とくに令和3年8月の改正ストーカー規制法施行に伴い、GPS機器に関する規制が強化されるため、逮捕・刑罰を受けてしまうおそれが高いでしょう。

パートナーの不倫調査などのように正当と思える目的がある場合でも、違法となってしまうケースがあるため、大きなトラブルに発展してしまう前に弁護士への相談をおすすめします

相手の車にGPS機器を仕掛ける行為について合法・違法であるかを判断したい、GPS機器を仕掛けたことで刑事事件に発展するおそれがあり不安を感じているなどのお悩みがある方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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