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離婚調停で親権を得るには? 有利に進めるための対策と調停の流れ

2022年04月28日
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離婚調停で親権を得るには? 有利に進めるための対策と調停の流れ

子どものいる夫婦の離婚において、難しいのが親権問題です。

もともと未成年の子供の親権は父母である夫婦が共同して行うものですが、離婚をする際には父母のいずれかを親権を行使する親権者として定める必要があります。したがって、父母双方が子どもの親権を行使したいと望んでおり、話し合いで親権者が決まらない場合には、家庭裁判所で離婚調停を申し立てる必要があります。

東京都福祉保健局『人口動態統計 年次推移(区市町村別)』によると、令和2年度の墨田区の離婚件数は475件、江東区は822件でした。錦糸町エリアでも、離婚を選択した夫婦は少なくなく、一定数が離婚調停を選択していると推測されます。

今回は、調停による親権獲得、手続きの流れ、親権を獲得するためにはどのような対策をとればよいのかなど、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、離婚調停による親権決定とは

  1. (1)親権者を決めずに離婚はできない

    まず子どもを持つ夫婦の離婚の前提として、親権者を決めなければ離婚ができないことを知っておきましょう。

    そもそも民法818条の第3項では、父母が婚姻中は、子どもの親権は共同して行うと定められています。

    そして、民法第819条の第1項では、父母が協議上(話し合い)の離婚をするとき、どちらか一方を親権者と定めなければならないと規定されています。そのため、夫婦双方が離婚に合意をしていたとしても、離婚届にある親権者欄が空欄のままであれば、離婚届は受理されません

    なお、親権者を指定する必要があるのは、未成年者のみです。すでに成人している子どもについては、親権者を決定する必要はありません。

  2. (2)離婚調停で親権者を決めることができる

    話し合いを重ねても親権者を決められないことは珍しくありません。そうした場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、親権を決める方法があります。

    離婚調停とは、家庭裁判所において調停委員2名(男女各1名)と裁判官を介して、離婚に関する話し合いをする手続きです。親権者の決定以外にも、子どもとの面会交流、養育費、財産分与など離婚に関するさまざまな条件を、客観的な第三者である調停委員等の意見を交えて決定していきます。

    ただし、調停もあくまで話し合いの手続きですので、たとえば親権者についての話し合いがまとまらずに調停不成立となった場合には、離婚裁判に移行することになるでしょう。

  3. (3)その他の調停│親権者変更・養育費請求・面会交流・子の引き渡し

    子どもに関する決め事は、離婚後であっても、たとえば、以下のような調停を申し立てることができます。

    ● 親権者変更調停
    一度決定した親権者について、後から変更を求める調停です。ただし、親権者の病気、ケガ、虐待、子ども自身の希望など、特別な事情がなければ親権の変更は難しいでしょう。

    ● 養育費請求調停
    養育費について合意しないまま離婚しても、離婚後に請求することが可能です。また、離婚調停等で決定した養育費の金額を、離婚後の経済状況や家族環境の変化により増額・減額を要求することができます。

    ● 面会交流調停
    子どもと同居していない親とその子どもとの面会交流の条件について、裁判所を介して決定する手続きです。面会交流の条件は、あくまでも子どもの利益が最優先されます。子どもと同居する親から面会交流の要求を無視されたり、面会交流を拒否された場合には、この調停を申し立てることを検討するとよいでしょう

    ● 子の引き渡し審判
    親権者でない親による子どもの連れ去りが発生した際に、裁判官に判断を仰いで子どもを元の親のところに戻すべきかどうかを決定してもらうための手続きです。もっとも、この手続きは、審判官が最終判断を行い、子どもの引き渡し命令が出るまでに、数か月以上かかってしまうことが通常なので、審判が出る前の段階において、子どもの引渡しを仮に認めてもらうための、子の引き渡し審判前の保全処分(仮処分)もあわせて利用します。

2、離婚調停の申し立ての流れ

  1. (1)必要書類を準備する

    離婚調停を申し立てる際の必要書類は、以下の通りです。

    • 離婚調停申立書とそのコピー
    • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
    • 年金分割の情報通知書 ※必要に応じて
    • 裁判所との連絡用郵便切手
    • 収入印紙1200円分(申立書に貼付用)


    なお、離婚調停申立書や記入例は裁判所のホームページからダウンロードすることが可能です。
    (参考:夫婦関係調整調停(離婚)裁判所)

  2. (2)管轄の家庭裁判所に離婚調停を申し立てる

    離婚調停の申立て先は、相手の住所地または夫婦で話し合って決めた場所にある家庭裁判所です。

    申立てをすると、約1か月後に第1回目の調停期日が行われます。その後、約1か月~1.5か月間隔で期日が指定されます。各裁判所の込み具合によって間隔はまちまちであり、長期休暇を挟む場合は間隔が長くなる傾向があります。

  3. (3)期間は半年が目安

    離婚調停にかかる期間はケース・バイ・ケースですが、3か月~半年程度、長くても1年程度で終了することが多いです。

    親権を巡る争いによっては、裁判官の命令により家庭裁判所調査官(以下、家裁調査官)による子どもの養育環境等の調査が行われます。より適切な親権者を決定する際の判断材料とするためです。

    家裁調査官の調査には、両親からの聞き取りのほか、子ども本人との面談、家庭訪問、学校・保育園訪問などが含まれます。

    (参考:令和2年度「婚姻関係事件数 終局区分別審理期間及び実施期日回数別 全家庭裁判所」(裁判所))

  4. (4)離婚調停が成立すれば離婚届を提出

    離婚調停が成立すれば、調停調書に離婚条件が記載されます。調停調書には、確定判決と同じ効力があります(家事事件手続法第268条第1項)。そのため、調停調書に記載されている内容を相手が守らない場合には、強制執行をすることもできます

    離婚届は、調停成立から10日以内に市区町村役場に提出します。また、離婚届を提出する際には、調停調書謄本が必要となります。なお、夫婦の本籍地ではない市区町村役場に届け出るときは、加えて戸籍謄本が必要となります。

3、親権者の現状と親権獲得のための対策

  1. (1)母親の親権獲得の現状

    司法統計によると、令和2年度に全家庭裁判所の離婚調停または審判事件において母親が親権を獲得した割合は、1万8035件中で1万6908件でした。

    • ※司法統計では、1件について複数の未成年者につき親権者が異なることがあるため、総数以外の合計と総数は必ずしも一致するものではありませんので、後記(2)にある父親が親権を獲得した件数との合計が総数と一致するわけではありません。

    現状では、育児実績や母性優先の原則に基づき、結局のところ、母親の方が圧倒的に親権者に選ばれる傾向があるといえます。

  2. (2)父親の親権獲得の現状

    一方、父親の親権獲得者は1万8035件中1635件でかなり低い数値となっています。しかし、家事・育児を夫婦で分担する共働き世帯の増加に伴い、今後は父親が親権者となるケースが増えることも予想されます。

    裁判官や調停委員が親権者の適正を判断するときのポイントを適切におさえた主張をすることで、親権を獲得する可能性が高まります。
    以下では、親権者を決定する際の条件について解説します。

  3. (3)親権者を決定する主な条件6つ

    親権者を決定するにあたって、もっとも重視されるのは“子の利益”です子どもが心身ともに健やかに成長できる環境づくりができるかが判断基準となります

    具体的には、以下の6つの原則に基づいて判断されています。

    ① 母性優先の原則
    母性優先の原則とは、子どもとの心理的な結びつきの強いほうを親権者として優先すべきとする考え方です。

    かつては、特に子どもが乳幼児のうちは、授乳ができる母親のほうを必要としているため母親が優先されるべきとする「母親優先の原則」という考え方がとられていました。しかし、近年は共働き世帯も増え、子どもの面倒を見る父親が増えてきたことから、より心理的な結びつきの強いほうを親権者とすべきとする考え方に変わってきています

    ② 監護実績の原則
    親として子どもにどんな必要なことをしてきたかがポイントになります。
    なお、実績だけではなく、親の健康状態に問題がないかどうか、子どもの世話に耐えうる体力や能力があるかどうかなど、監護能力も問われます。

    ③ 継続性の原則
    これまでの養育実績や、離婚時点で子どもと一緒に生活しているかどうかを基準に判断します。

    離婚によって精神的な負担が増える子どもは少なくありません。安心して生活するためには、なるべく現状維持をしながら安定した暮らしを整えてあげることが大切だと考えられています。

    ④ 寛容性の原則
    離婚後の面会交流について寛容である方が、より親権者としてふさわしいと判断されます。面会交流により親からの愛情を感じることは、子ども自身の利益となるからです。
    夫婦同士はお互いにもう会いたくないと思っていても、子どもの「別居親に会いたい」という気持ちを尊重できるかどうかが、親権者としての適格性を判断するポイントとなるのです。

    しかし、相手の家庭内暴力やモラルハラスメントなどが原因で離婚した場合は、面会交流を拒む正当な理由があるとして考慮される可能性が高いでしょう。

    ⑤ 子の意思の尊重の原則
    子どもがある程度物事を判断できる年齢になれば、子ども自身の意思が尊重されます。子どもが15歳以上であれば、必ず本人の意見を聞かなければなりません(家事事件手続法152条2項、169条2項)。

    また、15歳未満であっても、10歳前後から子どもの意見を参考にして親権者が判断されることもあります。

    ⑥ 兄弟不分離の原則
    幼い子どもにとって、兄弟姉妹と一緒に育つことは情緒安定・人格形成に大きなメリットがあります。そのため、子どもが複数いる場合には、なるべく同じ親権者のもとで一緒に監護養育することが望ましいとされています。

    ただし一定以上の年齢になると、子の意思や継続性の原則の方が優先されることもあります。

  4. (4)親権獲得のポイントと対策

    前述の原則をふまえて、調停委員は具体的に以下のポイントをチェックします。

    • これまでの子育ての実績
    • 子どもに対する愛情
    • 親や子どもの心身の健康状態
    • 経済状況
    • 家族による支援体制
    • 子の意思
    など


    親権を獲得するための対策として、まずは、上記のポイントにおいて自分が子どもの幸せや生育環境に具体的にどう貢献したかの実績、これからそれをどう実現するのかの計画を洗い出しましょう。

    これらのまとめ方で悩んだ場合は、離婚問題に関する実績のある弁護士に相談することをおすすめします具体的なアドバイスはもちろん、何が有益な物的証拠になるか、どんな話し方がよいかなどについても詳しいアドバイスが得られるでしょう

  5. (5)不貞行為があった場合の親権

    たとえ不貞行為を行った有責配偶者であっても、親権者と認められるケースもあるため、諦めるのは早計です。不貞行為はあくまでも夫婦間の問題であり、親子関係には影響を及ぼさないと考えられるからです。

    大切なのは、前述したような原則に基づいて、子どもが安心して成長できる環境を用意できるか、子どもに愛情をかけられるか、ということです。

    ただし、不貞行為の態様が明らかに子どもに悪影響を及ぼすものであれば、マイナスの判断材料として考慮される可能性もあります。

4、親権獲得のために弁護士ができること

離婚調停においては、弁護士が手続き面でサポートできるだけでなく、調停委員とのコミュニケーション方法についてアドバイスすることも可能です。

離婚調停においては、調停委員を味方に付けることが重要です調停委員によい印象を持ってもらい共感を引き出すためには、実績ある弁護士の経験則に基づくアドバイスが有効でしょう

5、まとめ

現在の離婚調停または審判事件の9割以上において、母親が親権を獲得しています。しかし、共働き夫婦の増加で父親が親権を主張する機会は増えてくるでしょう。

親権獲得のために大切なのは、これまでの養育実績や子どもへの愛情、親や子の心身の健康状態が良好であること、今後の養育環境など、ポイントをおさえた主張をすることです

話し合いで親権が決まらず、離婚調停で親権獲得を目指したいと考えている方は、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスまでお気軽にご連絡ください。調停のサポートや調停での適切な主張のために、まずは現状を丁寧にヒアリングいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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