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「残業代が出ないから帰る」は許される? サービス残業の問題とは

2023年06月13日
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「残業代が出ないから帰る」は許される? サービス残業の問題とは

会社から残業を命じられたにもかかわらず残業代が支払われない、いわゆる「サービス残業」を経験されたことのある方は少なくありません。サービス残業をさせられると、貴重なプライベートな時間を割いてまで無償で労働することになるため、納得できない方も多いと思われます。

もし会社からサービス残業を命じられた場合には、「残業代が出ないから帰る」という対応をするつもりの方もおられるかもしれません。しかし、「残業代が出ないから帰ることで、会社から不利益な扱いを受ける可能性はないか…」という不安も感じるでしょう。

本コラムでは、サービス残業を命じられた場合に「残業代が出ないから帰る」という対応が可能なのかについて、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、サービス残業は違法

まず、サービス残業の概要や問題点を解説します。

  1. (1)サービス残業とは

    一般的に、サービス残業とは「本来は残業代を支払う必要があるにもかかわらず、無償で残業を行うこと」をいいます。

    サービス残業が常態化している会社では、会社からサービス残業を命じられても労働者は断ることができず、無償での残業に応じてしまうケースが多々あります

  2. (2)サービス残業は労働基準法違反

    労働基準法では、労働者に対する賃金の支払いが義務付けられています(労働基準法24条)。また、労働者に時間外労働を命じた場合には、労働時間に応じた割増賃金を支払わなければならないとも定められています(労働基準法37条)。

    サービス残業は、時間外労働に対する割増賃金だけでなく、労働時間に応じた賃金の支払いも怠るものであり、労働基準法に反する違法なものです。
    労働基準法違反には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金というペナルティーも設けられており、違法な事態が発覚した場合は会社の経営者が罰則を受ける可能性もあります(労働基準法119条1号、120条1号)。

  3. (3)労働契約内容によっては適法な残業である可能性も

    会社と労働者の労働契約内容によっては、みなし残業代(固定残業代)制度が採用されていることがあります。
    「みなし残業代制度」とは、実際の労働時間にかかわらず、毎月一定時間分の残業代を固定給のなかに含めて支払う制度のことです。

    みなし残業代制度が採用されている場合には、サービス残業と思っている時間であっても、実はみなし残業代として残業代が支払われていることもあります
    そのため、サービス残業の違法性を主張する前に、まずは、自分の労働契約の内容を確認してみましょう。

2、残業代が出ないという理由で帰宅は認められるのか

以下では、残業代が出ないという理由で仕事を終えて自宅に帰ることが可能なのかどうかについて解説します。

  1. (1)違法なサービス残業に応じる義務はない

    労働者は、労働契約上の義務として、会社からの業務命令に従わなければなりません。
    正当な理由なく会社からの業務命令を拒否した場合には、減給や解雇などの不利益処分を受けるリスクがあります。

    サービス残業を命じられた労働者のなかには、「サービス残業を拒否したら解雇されるのではないか」といった不安を抱く方もおられるでしょう。
    しかし、サービス残業は、残業の対価である賃金の支払いがないという点で違法な残業です。違法な残業を命じられたとしても、それは正当な業務命令とはいえませんので、拒否したことを理由として解雇などの不利益処分を受けた場合も、不当な処分として違法となります。
    そのため、残業代が出ないという理由で自宅に帰ることも可能です。

    ただし、残業を命じられた際に、それがサービス残業であるかどうかがわからないこともあるでしょう。
    正当な業務命令の場合に残業を拒否して帰宅してしまうと、解雇理由に該当するおそれもある点に注意してください

  2. (2)サービス残業を命じられた場合の対応

    会社からサービス残業を命じられた場合には、業務命令違反とならないようにするために、以下のような方法で対応してください。

    ① 残業命令の根拠を確認する
    会社が労働者に残業を命じるためには、36協定の締結と届け出が必要になります。
    また、就業規則や労働契約上、時間外労働を命じることができる根拠規定も必要となります。

    もし会社から残業を命じられた場合には、残業命令に根拠があるかどうかを確認してみましょう。
    これらの根拠に基づかない場合は違法な残業命令となりますので、拒否することができます

    ② 残業代の支払いの有無について確認する
    残業を命じる正当な根拠があったとしても、残業時間に応じた賃金が支払われないサービス残業であれば、違法な残業命令となります。

    会社から残業を命じられた場合には、残業代が発生する残業であるかどうか就業規則や雇用契約書等をしっかり確認しましょう

    ③ 違法な残業命令であれば拒否する
    もし会社からの残業命令が違法である場合には、会社に対して残業に応じられない旨を説明して、残業を拒否しましょう。

    いわゆるブラック企業の場合にはしつこくサービス残業を命じてくることもありますが、「違法なサービス残業には応じない」と心に決めて、断り続けることが大切です。

3、残業代が支払われていない場合

残業代が支払われていない場合には、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)未払い残業代の証拠を集める

    未払いの残業代がある場合には、会社に対して、未払い残業代の請求をすることができます。ただし、請求する際には、労働者の側で未払いの残業代が発生していることを立証していかなければなりません。
    そのため、会社に未払いの残業代を請求する前提として、未払い残業代の証拠を集める必要があります

    未払い残業代を証明するために必要になる証拠としては、以下のようなものがあります。

    • タイムカード
    • 勤怠管理ソフトの記録データ
    • 業務日報、月報
    • 就業規則
    • 雇用契約書
    • 労働条件通知書
    • 給与明細
    • 上司からの残業指示のメール
    • 残業時間を記録したメモ
  2. (2)未払い残業代の金額を計算する

    未払い残業代を証明する証拠を確保したら、次は、証拠に基づいて未払い残業代の金額を計算します。
    残業代の計算式は以下の通りです

    • 1時間あたりの賃金×残業時間×割増率


    ① 1時間あたりの賃金
    月給制の会社であれば、1時間あたりの賃金は、以下の計算式で計算をします。

    • 1時間あたりの賃金=月給額÷月平均所定労働時間
    • 月平均所定労働時間=(365日-1年間の休日)×1日の所定労働時間÷12か月


    ② 残業時間
    労働基準法では、1日8時間、1週40時間が法定労働時間と定められています(労働基準法32条)。
    法定労働時間を超えた労働は、法外残業として割増賃金の対象となる残業時間です。
    これに対して、所定労働時間を超えて法定労働時間の範囲内の労働は法内残業として割増賃金の対象外となりますが、労働時間に応じた賃金の支払いは必要です。

    ③ 割増率
    時間外労働、深夜労働、休日労働については、以下のような割増率が定められています(労働基準法37条参照)。会社によっては、これを超える割増率を定めている場合もあります。

    • 時間外労働:25%以上
    • 深夜労働:25%以上
    • 休日労働:35%以上
    • 1か月60時間を超える時間外労働:50%以上

  3. (3)会社に対して未払い残業代を請求する

    未払い残業代の計算ができたら、会社に対して未払い残業代の請求を行いましょう。
    口頭で請求することもできますが、残業代請求には時効があることからも、請求したという証拠を客観的に残すために、内容証明郵便を利用して書面によって請求することが重要です

    内容証明郵便が届いた後は、会社との交渉を行いながら、未払い残業代の金額や支払い時期、支払い方法などの条件を細かく定めていきましょう。
    会社との合意が成立した場合には、合意書を作成したうえで、合意内容に従って未払い残業代の支払いを受けてください。

4、残業代の請求は弁護士に相談

会社に対する未払い残業代の請求を検討されている方は、弁護士に相談してください。

  1. (1)未払い残業代の計算を代行してもらえる

    残業代を実際に計算する際には、みなし残業制や変形労働制、フレックスタイム制などの雇用形態も考慮しなければなりません。
    雇用形態や労働者の事情によっては、非常に複雑な計算となる場合もあります。

    弁護士は専門家であるため、未払い残業代を正確に計算することができます。
    残業代の計算が複雑であったり、正確に計算できる自信がなかったりする場合には、弁護士に計算を依頼しましょう

  2. (2)会社との対応を任せることができる

    未払い残業代の請求をする際には、まずは会社との交渉を行うことになります。
    しかし、労働者個人で交渉をしても、会社側が真剣に取り合ってくれず、適当な理由を付けて未払い残業代の支払いを拒否されてしまう可能性があるのです。
    弁護士に依頼すれば、このような事態を防ぐことができます。

    弁護士が労働者の代理人として対応すれば、会社としても真剣に対応せざるを得なくなりますので、話し合いによる早期解決が見込めます
    また、もし話し合いで解決できない場合でも弁護士が労働審判や裁判の対応を行うことができるため、労働者自身が手続きにかける負担はほとんどなくなるのです。

5、まとめ

残業代の支払いのないサービス残業は、労働基準法に反する違法な残業です。
もし違法な残業命令を受けた場合には、会社の業務命令であっても従う必要はありませんので、残業代が出ないという理由で自宅に帰ることもできます。

サービス残業が常態化している会社では、未払いの残業代も高額になっている可能性もあります。
未払い残業代の請求を検討する際には、まずは弁護士に相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所では、残業代に関するご相談をいつでも承っております

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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