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刑事事件を起こしても逮捕されないことがある? 逮捕の要件や書類送検との違い

2021年06月07日
  • その他
  • 逮捕されない
刑事事件を起こしても逮捕されないことがある? 逮捕の要件や書類送検との違い

令和2年版の犯罪白書によると、令和元年中に全国警察が認知した刑法犯は74万8559件で、うち29万4206件が検挙に至っています。

一方、検察庁が処理した刑法犯の総数は20万2641件で、うち逮捕されずに検察庁へと事件が引き継がれた件数は12万1844件でした。逮捕された割合を示す「身柄率」は36.5%で、残る63.5%は事件を起こしても逮捕されなかったことになります。

墨田区錦糸町や江東区亀戸のある東京都では、平成31年・令和元年中に1万2017件の刑法犯が認知され、7887件が検挙されています。身柄率は明らかにされていませんが、全国の身柄率に照らせば検挙件数7887件のうち約5000件は「逮捕されなかった」ことになるでしょう。

このように、統計上の数字をみれば、罪を犯したからといって「必ずしも逮捕されるわけではない」という現実がわかるはずです。

では、罪を犯しても逮捕されるケースと逮捕されないケースがあるのはなぜなのでしょうか?このコラムでは、刑事事件で逮捕されないためにするべきことについて、錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、“罪を犯した=逮捕”ではない! 逮捕されないケースがある理由

令和2年版の犯罪白書によると、刑事事件を起こしても63.5%の人が逮捕されないまま事件処理を受けているという実情があります。

これは、令和元年中の数字が特別だというわけではありません。過去の犯罪白書をみると、平成30年中で63.1%、平成29年中は63.3%となっており、逮捕されない人の割合はおおむね63%程度で推移しています。

「罪を犯しても、60%以上の人が逮捕されていない」という事実に驚く方も多いでしょう。なぜ、罪を犯しても逮捕されないことがあるのでしょうか?

  1. (1)逮捕の目的と要件

    「逮捕」と聞いてどのような手続きをイメージされるでしょうか?手錠をかけて連れていかれることをイメージする方も多いと思います。

    逮捕とは、警察をはじめとした捜査機関が、犯罪捜査の必要から被疑者の身柄を拘束する手続きです自由を奪うなど権利侵害の程度が大きいため、逮捕の要件は法律の定めによって厳格に判断されます

    逮捕には、裁判官の事前審査を経て行われる通常逮捕、犯罪の現場を目撃した場合などに行われる現行犯逮捕等、裁判官の事前審査を待つことができない場合の緊急逮捕の3つがあります。

    逮捕により、身柄を拘束された人にはさまざまな不利益が生じます。無実の人が逮捕されて不利益を被らないよう、逮捕をするためには、逮捕される人が罪を犯したことが相当程度確実であることを要件としています。

    現行犯逮捕等は、警察官などが犯罪を目撃している場面を念頭に置いているので罪を犯したことは相当程度確実です。犯行現場を目撃していない場合であれば、捜査によって多くの証拠を集め、裁判官の事前審査により、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」と認められる場合でなければならないのです。緊急逮捕は例外的な場面ですので、通常逮捕以上に確実な証拠がなければなりませんし、誤認逮捕の手当として、裁判官の事後審査を必要としていますし、一定の重大犯罪の場合に限定されたうえで、緊急性を必要としています。

    逮捕の要件は、これだけではありません。
    説明した要件に加え、被疑者の年齢および境遇、ならびに犯罪の軽重および態様、その他諸般の事情に照らし、被疑者が「逃亡するおそれ」と「罪証を隠滅するおそれ」が要求されています。たとえ罪を犯したとしても「逃亡のおそれ」と「証拠隠滅のおそれ」を満たさない限り逮捕されないのです

  2. (2)“検挙=逮捕”ではない

    犯罪白書などの統計には「認知件数」と「検挙件数」が登場します。認知件数とは、警察が被害届や告訴状を受理した、警察が独自に捜査して事件を認知したなど、捜査がはじまった事件の総数を意味しています。

    一方の検挙件数とは、警察が事件処理を終えた件数をあらわす数字です。認知した事件のなかには犯人を発見できないことなど検挙できない事件も一定する発生するので、認知件数より検挙件数が少なくなるのです。

    犯罪白書のデータをみると、令和元年中の検挙された者は28万9399人であるのに対して、逮捕されない者は17万7997人となっており、身柄率は35.7%となっています。このように、罪を犯して検挙されたとしても、逮捕されないケースが数多く存在するのです。

  3. (3)逮捕されないケースがある理由|任意捜査の原則

    警察がすべての事件について逮捕をしないのは、裁判官が逮捕状を発付するためには厳格な要件があることに加えて「任意捜査の原則」が存在していることも理由となるでしょう。

    警察が行う捜査の方法や心構えについて示している「犯罪捜査規範」の第99条には「捜査は、なるべく任意捜査の方法によって行われなければならない」と定められています。逮捕は、被疑者の身柄を拘束する「強制捜査」の手続きであり、原則として控えるべき手段なのです。

    先ほど説明したように、逮捕には、厳格な要件が規定されているのもこの原則の表れといえます。

2、逮捕と書類送検の違い

ニュース報道などをみていると「犯人を逮捕した」といった表現のほかにも「書類送検した」というフレーズを耳にすることが多いはずです。

  1. (1)書類送検とは

    「書類送検」とは、法律用語ではなく、ニュースなどで一般に使われる言葉で、逮捕されずに「書類のみが検察庁に送られる」ことを指す用語です。

    検挙後に警察から検察庁へと事件を引き継ぐことを、「検察官送致」といいます。

    検察官送致には、逮捕している場合としていない場合があるため、ニュースなどでは、逮捕されない検察官送致を書類送検と呼んでいるのです。

  2. (2)刑事手続きのスピードに差がある

    事件が検察庁へと引き継がれるという点では、通常の送致も書類送検も同じですが手続きのスピードには大きな差があります。警察が犯人を逮捕した事件では、刑事訴訟法第203条の規定に従い、逮捕から48時間以内に送致しなければならないという時間制限が設けられています。

    ところが、書類送検の場合は「捜査がはじまって◯日以内に送致しなければならない」といった規定はなく時間制限はありません。警察の捜査も時間制限がある場合に比べて優先順位が下がるため、長引く傾向があります。事件の内容や各警察署が抱えるほかの事件の状況次第では、事件の認知から書類送検までに数か月以上かかってしまうケースもめずらしくありません。

3、逮捕されていない在宅事件の特徴

  1. (1)在宅事件とは

    「在宅事件」とは、逮捕しないまま捜査を進め書類送検され終局処分や判決に至る事件のことです。つまりは、「逮捕されない事件(※)」のことです。

    ※逮捕後に釈放された場合も在宅事件に含めることもありますが、このコラムでは逮捕されない事件を在宅事件と考えて説明しています。

    在宅事件では、逮捕による身柄拘束を受けないため、自宅で生活し、仕事や学校に通いながら、取り調べなどの捜査を受けることになります。
    日常生活を継続できるので、社会生活への影響を最小限に抑えることができるという利点があります。

  2. (2)罪の重さには影響しない

    罪を犯しても在宅事件となるのは、任意捜査の原則のもと、捜査機関や裁判所によって、逮捕すべきとの判断がされないからです。逃亡や証拠隠滅のおそれがないという評価を受けていると考えれば、逮捕された場合に比べて、刑罰も軽く済まされるのではないかと期待しがちですが、逮捕されている身柄事件なのか在宅事件であるのかという点は、刑罰の軽重には影響を与えません

    在宅事件でも刑事裁判に発展して厳しい判決が下されるケースは少なくないので、在宅事件になったからといっても油断してはいけません。

4、逮捕された場合の刑事手続きの流れ

警察に逮捕されると、直ちに身柄を拘束されて自由な行動は大幅に制限されます。会社に出勤する直前だったとしても会社へ行くことは許されず、自宅へ帰ることさえも許されません。自由な連絡も認められないので、自分で会社に欠勤の連絡をすることも、スマホから家族などへ「帰れなくなった」とメッセージを送ることもできません。

逮捕後は基本的に警察署の留置場に身柄が置かれ、警察官による取り調べを受けます。48時間以内に検察官のもとへ送致されると、さらに検察官による取り調べを受けます。検察官は、取り調べのうえで起訴・不起訴を決定しなくてはなりませんが、逮捕後のわずかな時間しか捜査できていない状況では、判断を下す材料が不足しています。そこで、検察官は、裁判官に対して身柄拘束の延長を請求します。

この手続きを「勾留請求」といい、裁判官が勾留を許可すると当初10日間、延長によって20日間まで身柄拘束が延長されます。通常の犯罪では、20日を超える勾留は認められないので、逮捕・勾留による身柄拘束の期間は最長で23日間です。

勾留が満期を迎える日までに、検察官は起訴・不起訴の最終判断をすることが多く、検察官が起訴せず、別件がない限りは釈放されます。

5、逮捕されないための対策とは? まずは弁護士へ相談を

罪を犯したすべての人が逮捕されるわけではないといっても、現実に令和元年中は身柄率35.7%にあたる人が逮捕されています。逮捕される可能性を下げるためには、警察が逮捕に踏み切るまでのわずかな時間にどれだけの対策を講じることができたのかにかかってくるでしょう。

逮捕を回避する対策をするうえで、弁護士のサポートは重要です。

  1. (1)逃亡・証拠隠滅のおそれを否定する

    警察が逮捕を検討し、裁判官が逮捕状を発付するには、逃亡のおそれと証拠隠滅のおそれがあることが要件となります。つまり、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを証明できれば、逮捕されません。

    警察からの呼び出しや連絡には素直に応じる、任意の取り調べ誠実に対応するといった基本的な点に注意することはもちろん、定まった住所地に家族と居住している、定職に就いているなど、逃亡や証拠隠滅を行わないと判断されるための事情を捜査機関にはたらきかけることで、逮捕を回避できる可能性は多いに高まるはずですほかにも早期に被害者と示談することなどもポイントになってきます

  2. (2)被害者との示談交渉を進める

    被害者が存在する事件においては、被害者との示談交渉によって逮捕が回避できる可能性があります。

    真摯(しんし)に謝罪したうえで、被害者が負った精神的苦痛に対する慰謝料や治療費・修理費・休業補償などさまざまな損害を賠償することで、許してもらうのです。示談が成立し許すことが明確にされた示談書の作成や、被害届・告訴が取り下げられれば、被害者はすでに「犯人を罰してほしい」という意思を失ったと評価されるため、逮捕してまで事件捜査を進める必要性が低下します

    もし逮捕されてしまった場合でも、被害者との示談が成立すれば釈放されやすくなるので、早期の社会復帰が可能となるでしょう。

6、まとめ

罪を犯したからといって、すべての事件で逮捕されるわけではありません。警察の捜査は「任意」が基本なので、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがない場合は逮捕されず在宅事件として扱われることになります。

とはいえ、罪を疑われた本人が「逃げない」「証拠はすべて提出済みだ」と主張しても、捜査機関に信用されるのは容易ではありません。
罪を犯してしまい、逮捕への不安を抱えているなら、弁護士にサポートを求めるのが最善策となるでしょう。

逮捕を回避するための弁護活動は、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスにお任せください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、逮捕の回避を目指して全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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