0120-629-021

平日9:30〜18:00/土日祝除く

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

副業で残業された場合、残業代の支払いはどうなるのか

2023年12月11日
  • 労働問題
  • 副業
  • 残業
副業で残業された場合、残業代の支払いはどうなるのか

近年では労働者の働き方も多様化していることから、副業やダブルワークを認める企業も増えてきています。

労働者が本業とは別の副業として働くことには、残業代の計算についての特別なルールがあります。採用予定の労働者が副業としての勤務を希望している場合には、採用先の企業としては、複数の企業で働く労働者の残業代の計算方法などをしっかりと理解しておくことが大切です。

本コラムでは、副業をする労働者の残業代の正しい計算方法などについて、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、副業は残業になる?

まず、副業における労働時間について、基本的なポイントを解説します。

  1. (1)副業も労働時間に含まれる

    働き方改革により、副業を解禁する企業も増えてきました。
    副業というと「小遣い稼ぎ」のようにとらえて、本業のように労働基準法が適用されないと考える方もおられます。

    しかし、副業であっても、使用者の指揮命令に従って働いている場合には、労働基準法の適用される労働者にあたります
    したがって、本業と同様に労働基準法の規制が及ぶことになります。
    つまり、副業により働いた時間も「労働時間」に含まれることになるのです。

  2. (2)副業における残業時間の考え方

    労働者が本業のほかに副業をしている場合には、労働時間(残業時間)について特別なルールが定められています。

    具体的には、労働者が異なる事業場で働いている場合は、労働時間に関する規定の適用については通算されることになります(労働基準法38条1項)。
    これには、事業主を異にする場合も含まれます。
    たとえば、本業で8時間働いた後に副業で4時間働いたとすると、本業と副業それぞれの労働時間だけ見れば、法定労働時間の範囲に収まっています。
    しかし、本業と副業の労働時間は通算することになりますので、副業での4時間の労働は、すべて法定労働時間を超えた残業になります。
    そのため、上記のような場合には、副業先の企業において36協定の締結・届出を行わなければ、労働者に対して時間外労働を命じることができません。

    なお、本業と副業の労働時間の通算は、雇用形態により区別されることはありませんので、本業が正社員ではなくパートやアルバイトであったとしても、同様に労働時間が通算される点に注意してください

  3. (3)副業の内容によっては労働基準法が適用されないケースもある

    本業と副業で労働時間の通算が行われるのは、本業と副業のいずれも労働基準法上の「労働者」として働く場合に限られます。

    副業をする人のなかには、フリーランスなどの個人事業主として活動し、収入を得る人もいます。そのような働き方をしている場合には、労働基準法が適用される労働者にはあたりませんので、副業での労働時間が通算されることはありません。
    ただし、労働基準法が適用される労働者であるかは、実態に即して判断されます。
    そのため、労働時間の通算を避けるために業務委託などの形式をとっていたとしても、実態が労働者であれば、最終的に労働基準法が適用されることとなる可能性がある点に注意してください。

2、割増賃金は本業と副業先、どちらが支払うのか

本業と副業の労働時間を通算した結果、法定労働時間を超えているという場合には、残業代(割増賃金)の支払いが必要になります。
以下では、本業と副業先のどちらの企業が残業代を負担することになるのかについて解説します。

  1. (1)割増賃金の支払いをする使用者の考え方

    労働基準法上の割増賃金の支払い義務を負うのは、当該労働者を使用して、法定労働時間を超えた労働をさせるに至った使用者です。

    一般的には、労働時間の通算によって法定労働時間を超える所定労働時間を定めた労働契約を後から締結した使用者が割増賃金を支払うことになります。
    この場合の使用者は、当該労働者が他の会社で働いていることを認識したうえで、労働契約を締結すべきだといえるからです。
    したがって、割増賃金は、副業先の企業が支払うのが基本となります

    ただし、通算した所定労働時間がすでに法定労働時間に達していることを知りながら、労働時間を延長する場合には、先に労働契約を締結した本業の会社にも残業代の支払い義務が生じます。

  2. (2)割増賃金はどちらが支払うのか|具体例

    ① 具体例1
    A社と所定労働時間を8時間とする労働契約を締結した労働者が、新たにB社と所定労働時間を5時間とする労働契約を締結し、同じ日に所定労働時間どおりに労働をしたとします。

    この場合、A社での労働は法定労働時間内の労働であるため、A社は割増賃金の支払い義務はありません。
    しかし、B社での労働は、労働時間の通算によりすべての労働時間が時間外労働になります
    つまり、このケースではB社が割増賃金の支払い義務を負います。

    ② 具体例2
    A社と所定労働時間を4時間とする労働契約を締結した労働者が、新たにB社と所定労働時間を4時間とする労働契約を締結して、同じ日にA社で5時間、B社で4時間の労働をしたとします。

    この場合、所定労働時間どおりに労働すれば、労働時間の通算によっても法定労働時間は超えませんのでいずれの会社にも割増賃金の支払い義務はありません。
    しかし、上記の例では、A社が所定労働時間を超えて働かせた結果、労働時間の通算により法定労働時間を超えることになったため、A社が割増賃金の支払い義務を負います

    ③ 具体例3
    A社と所定労働時間を3時間とする労働契約を締結した労働者が、新たにB社と所定労働時間を3時間とする労働契約を締結し、同じ日にA社で5時間、B社で4時間の労働をしたとします。

    この場合、A社では、所定労働時間を2時間オーバーする労働をさせていますが、A社での労働を終えた時点では、B社での所定労働時間を合算したとしても、法定労働時間の範囲内に収まります。
    そのため、A社は、割増賃金の支払い義務を負いません。
    しかし、B社で所定労働時間を超える労働をした結果、法定労働時間を超えるに至っています。
    そのため、B社が割増賃金の支払い義務を負うことになるのです

3、副業に関する支払いで注意するべき点

副業に関する残業代の支払いをする際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)本業で有給休暇を取得している場合

    本業での所定労働時間が8時間、副業での所定労働時間が4時間の場合、労働時間の通算により法定労働時間を超えることになりますので、割増賃金の支払いが必要になります。

    このような状況で、労働者が有給休暇を取得した場合、労働者は所定労働時間に相当する賃金の支払いを受けることができます。
    しかし、有給休暇を取得した労働者は、実際には労働をしていませんので、本業での労働時間が通算されることはありません
    そのため、副業先の企業では割増賃金の支払いは不要となります。

  2. (2)本業では管理監督者にあたる場合

    「管理監督者」とは、企業内で重要な権限や地位を有しており、経営者と密接な立場にある労働者のことをいいます。

    労働者が管理監督者に該当する場合には、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されません。
    そのため、労働者が本業で管理監督者にあたる場合は、副業との労働時間の通算が行われることはなく、労働時間の通算により副業先の企業が割増賃金の支払い義務を負うこともないのです

4、副業関連のトラブルは弁護士に相談

副業関連のトラブルが生じてお困りの経営者の方は、まずは、弁護士にご相談ください。

  1. (1)労働時間の通算の基本的な考え方をアドバイスできる

    複数の会社で働いている労働者を採用する場合には、労働時間の通算に配慮が必要になります。
    とくに、本業の会社における所定労働時間によっては副業先の企業に割増賃金の支払い義務が生じる可能性があるという点に注意が必要です。

    働き方改革により、副業として仕事をする方も増えてきています。
    そのため、企業としては、労働時間の通算に関する基本的な考え方を理解しておくことがますます大切になっています。
    企業の経営者や担当者の方が「どのようなケースで割増賃金の支払いが必要になるのかわからない」と悩まれている場合は、まずは法律の専門家である弁護士に相談してみましょう。

  2. (2)未払いの残業代が発生した場合の対応を任せることができる

    労働時間の通算により、副業先の企業では、割増賃金の支払いが必要になるケースが多くなります。
    そのため、労働時間の通算や割増率の計算ミスなどにより、適正な残業代が支払われず、労働者から未払い残業代の請求をされる可能性もあるでしょう。

    労働者から未払い残業代の請求をされたときは、労働者が請求する金額が正しいものであるかを再度計算しなければなりません。
    残業代計算は、非常に複雑な計算となっており、法律の知識や理解がなければ正確に計算することは困難です。
    また、労働者とのトラブルに慣れていない企業では、対応を誤ってしまい、深刻なトラブルに発展するリスクもあります。

    労働者との間で労働問題が発生したときは、まずは早めに弁護士に相談することが大切です
    弁護士であれば、正確な法律の知識や豊富な交渉経験に基づきながら、会社に代わって労働者との対応を行うことができます。

5、まとめ

働き方改革により、副業が解禁されたことで複数の企業で働く労働者も増えてきました。
複数の企業で働いている場合には、本業と副業とで労働時間の通算が必要になり、具体的な状況に応じて、本業と副業のどちらの企業が割増賃金を負担するのかが異なってきます。

「副業が関わる場合の、労働時間の通算の考え方がよくわからない」と悩まれている場合や、副業に関して労働者とのトラブルが実際に発生してしまった場合には、弁護士に相談しましょう。
まずは、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-629-021

平日9:30〜18:00/土日祝除く

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

錦糸町オフィスの主なご相談エリア

<東京都>墨田区錦糸、吾妻橋、石原、押上、亀沢、菊川、京島、江東橋、墨田、太平、立花、立川、千歳、堤通、業平、東駒形、東墨田、東向島、文花、本所緑、向島、八広、横網、横川、両国、江東区亀戸、北砂、木場、清澄、佐賀、猿江、塩浜、潮見、青海、有明、石島、海の森、海辺、永代、枝川、越中島、扇橋、大島、東雲、白河、新大橋、新木場、新砂、住吉、千石、千田、高橋、辰巳、中央防波堤、東陽、常盤、富岡、東砂、平野、深川、福住、冬木、古石場、牡丹、南砂、三好、毛利、森下、門前仲町、夢の島、若洲、台東区、江戸川区、葛飾区、中央区、千代田区、荒川区、足立区、文京区、豊島区、北区、板橋区、港区、品川区、目黒区、大田区、新宿区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区
<千葉県>市川市、市原市、浦安市、千葉市美浜区、千葉市花見川区、千葉市稲毛区、千葉市中央区、千葉市若葉区、千葉市緑区、習志野市、船橋市、松戸市、八千代市、我孫子市、柏市、鎌ヶ谷市、流山市、野田氏、松戸市、白井市、印西市、栄町、成田市、酒々井町、四街道市、佐倉市、八街市、およびその他近隣地域にお住いの方

ページ
トップへ