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「配置転換を拒否したら退職勧奨」は違法? 拒否が認められるケースとは

2022年10月20日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 配置転換 拒否 退職勧奨
「配置転換を拒否したら退職勧奨」は違法? 拒否が認められるケースとは

東京労働局が公表している統計資料によると、令和3年度の民事上の個別労働紛争の相談件数の総数は、2万9447件でした。そのうち、出向・配置転換に関する相談は、1088件であり、全体の3.7%を占める割合となっています。

会社から配置転換を命じられたとしても、職場や業務内容が変わることによる抵抗感から受け入れることができない方も少なくないでしょう。

思わぬ配置転換を会社から命じられた場合、拒否することができるのでしょうか。また、配置転換を拒否したことを理由に退職勧奨や解雇をされた場合には、どのように対応すればよいのでしょうか。

今回は、配置転換を拒否することができるケースと配置転換を拒否した場合の退職勧奨・解雇の正当性について、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、配置転換の拒否は難しい

会社から配置転換を命じられた場合には、それを拒否することができるのでしょうか。

  1. (1)配置転換とは

    配置転換とは、同一の使用者のもとで業務内容や勤務地を変更する人事異動のひとつです。配置転換を略して「配転」と呼ぶこともあります。

    配置転換は、労働者に適材適所の部署で能力を発揮させる目的や部署の人員不足あるいは人員過多という不都合を解消させてむやみな解雇を防ぐなどの目的があります。

    しかし、労働環境の変化による精神的負担や勤務地の変更による経済的負担が生じることになりますので、労働者としては配置転換を拒否したいと考える方も少なくありません。

  2. (2)原則として配置転換を拒否することはできない

    会社との労働契約や就業規則において、会社が配置転換を行うことができる旨の記載があることが一般的です。

    労働契約や就業規則に配置転換の根拠規定がある場合、会社には人事権行使の一環として、労働者に対して配置転換を命じることが可能になります。

    業務上の必要性がある配置転換命令であれば、その命令は直ちに無効とはなりません。次章2のケースでない限り、命じられた労働者は、原則としてそれを拒むことができません。

2、配置転換の拒否が可能なケース

業務上の必要性がない配置転換命令は権利濫用として無効であるとされています。また、業務上の必要性を有する場合であっても、以下のようなケースについては、配置転換を拒否することができる場合があります。

  1. (1)職種や勤務地限定契約であるケース

    会社と労働者の間で、労働契約上、職種を限定する合意や勤務地を限定する合意がなされることがあります。このような合意があった場合には、会社の人事権の範囲が制限されることになりますので、合意に反して配置転換を命じることは認められません。
    そのため、職種や勤務地を限定する契約がなされている場合には、労働者は、会社による配置転換を拒むことができます

  2. (2)配置転換による不利益が大きいケース

    配置転換によって勤務地が変更になると、通勤時間が長くなったり、転居による経済的な負担が生じたりすることがあります。また、幼い子どもがいる場合や介護を必要とする家族がいる場合には、遠方への転勤や業務内容変更によって子育てや介護に支障が生じることもあります。

    配置転換に業務上の必要性があったとしても、配置転換によって労働者に通常甘受すべき程度を著しく超えるような不利益が生じる場合には、会社による配置転換は無効になると考えられています。

    そのため、配置転換によって子育てや介護に多大な影響が生じるケースやうつ病などの病気が悪化する危険があるケースなどでは配置転換を拒否することができる場合があるでしょう

  3. (3)退職させることを目的とする配置転換であるケース

    配置転換に業務上の必要性があったとしても、配置転換をすることに不当な動機や目的がある場合には、当該配置転換は無効になる可能性があります。

    たとえば、労働者に対する嫌がらせ目的でなされた配置転換や退職に追い込むことを目的とした配置転換については、権利濫用にあたりますので、配置転換を拒否することが可能です。

3、正当な配置転換の拒否による退職勧奨や解雇の正当性

配置転換を拒否することができるケースに該当しないにもかかわらず、配置転換を拒否した場合には、そのことを理由に会社から退職勧奨や解雇をされることがあります。このような退職勧奨や解雇は正当なものなのでしょうか。

  1. (1)退職勧奨の正当性

    退職勧奨とは、会社が労働者に対して退職を促したり説得したりする行為をいいます。

    退職勧奨はあくまでも労働者に対して退職をすすめる行為に過ぎませんので、解雇のように退職を強制する効力はありません。退職勧奨に応じて退職するかどうかは、労働者の意思に委ねられています。

    つまり、配置転換を拒否したことを理由に会社から退職勧奨を受けたとしても、退職するかどうかが労働者の意思に委ねられている限り、正当な行為だと考えられます。退職をする意思がない場合には、会社に対してはっきりと拒否をするようにしましょう。

    ただし、退職勧奨の方法が社会的に相当な範囲を超えて行われた場合には、違法な退職強要にあたることもあります。

    たとえば、労働者が退職勧奨に応じない意思を明確にしているにもかかわらず、執拗(しつよう)に退職を求めるケースや無理やり退職届を書かせたようなケースが挙げられます。

    このような場合は、違法な退職強要によって退職してしまったとしても、退職の無効を争うことができ、悪質なケースについては会社に対して損害賠償請求をすることができる場合もあります

  2. (2)解雇の正当性

    解雇は、会社による一方的な意思表示によって会社と労働者との間の労働契約を終了させるものですので、労働者にとっては重大な不利益が生じることになります。そこで、労働契約法では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(労働契約法第16条)と規定し、解雇について厳格な要件を定めて、労働者の権利を保護しています。

    では、配置転換を拒否したことを理由に解雇をすることは正当な解雇といえるのでしょうか。

    会社による正当な配置転換を拒否することは、業務命令違反となります。労働者を適材適所に配置することによって会社運営の合理化を行うためになされた配置転換を拒否されてしまうと、会社運営に支障が生じることもありますので、違反の程度としても重いものといえるでしょう。

    そして、多くの会社では、就業規則などで業務命令違反を解雇事由や懲戒事由として規定していますので、配置転換を拒否したことを理由に解雇をすることには、「客観的に合理的な理由」があるといえます。

    もっとも、解雇は労働契約を終了させるという重大な不利益を生じさせる処分であることから、配置転換命令を拒否したことで直ちに解雇がなされた場合には、当該解雇が「社会通念上相当であると認められない」場合もあります。

    配置転換に関する十分な説明や労働者への説得を尽くすことなく、配置転換拒否により突如解雇をされたという場合には、解雇の有効性を争う余地もありますので、弁護士に相談をするようにしましょう

    また、配置転換を理由に解雇をする場合には、前提となる配置転換が有効なものである必要があります。そのため、例えば、勤務地限定契約があるのに配置転換を命じられたようなケースでは、配置転換が無効ですので、それに基づきなされた解雇も不当解雇となります。

4、配置転換の拒否による退職・解雇は会社都合になる?

配置転換を拒否したことを理由に退職した場合、または解雇された場合の退職理由は、「自己都合」と「会社都合」のどちらになるのでしょうか。

  1. (1)自己都合退職になるケース

    会社が配置転換を命じることができる契約上の根拠があり、業務上の必要性に基づいてなされた正当な配置転換の命令については、拒否することができません。

    このような労働者による業務命令違反によって解雇された場合には、労働者自身に責に帰すべき事由のある退職となりますので、自己都合退職として扱われます。

    また、配置転換を拒否して、自主的に退職した場合も同様に自己都合退職として扱われます。
    自己都合退職として扱われた場合には、失業保険の基本手当について3か月の給付制限があり、その期間は基本手当の給付を受けることができませんので注意が必要です。

    なお、配置転換によって家族と別居することを避けるために退職したという場合には、「特定理由離職者」に該当し得るところ、これに該当した場合には、給付制限は発生しません。

  2. (2)会社都合退職になるケース

    会社によって配置転換を命じられたものの、以下のような場合には、配置転換の命令を拒否することができます。

    • 勤務地や職種限定の合意がある
    • 配置転換による不利益が大きい
    • 不当な動機、目的に基づく配置転換


    このような配置転換が命じられた結果、退職となった場合には、労働者自身に責に帰すべき事由はありませんので、会社都合退職として扱われます。

    また、例えば、職種を限定する合意がなかったとしても、10年以上同じ職種に就いていた労働者が配置転換によって別の職種へ異動となり、当該職種に関する十分な教育訓練を行われなかった場合にも会社都合退職として扱われます。

5、まとめ

会社は、人事権行使の一環として労働者に対して業務上の必要に応じて配置転換を命じることが可能ですので、会社からの正当な配転命令を拒否することは原則として認められません。配転命令を拒否した場合には、解雇などのリスクを伴うこともありますので、慎重に対応する必要があります。

ただし、職種・勤務地限定の合意がある場合や配置転換により労働者に著しい不利益が及ぶ場合などでは例外的に配置転換命令を拒否することができる場合もあります。会社からの配転命令に従うべきかどうかの判断で迷われている方、配転命令に伴うしつこい退職勧奨でお悩みの方は、まずは、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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