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刑事事件における示談の重要性|必要な理由と示談の流れ

2022年09月01日
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刑事事件における示談の重要性|必要な理由と示談の流れ

平成29年7月、錦糸町駅前の小売店で、支払いをせずに商品であるペットボトル飲料を持って店外に出ようとした女性が万引き犯として確保され、警視庁本所警察署に引き渡されました。同年11月には、店側との「示談」が成立していることなどを理由に、東京地検が当該万引きすなわち窃盗罪につき不起訴処分にしたと報じられています。

万引きに限らず、被害者が存在する刑事事件においては、被害者との「示談」の成否が刑事処分に大きな影響を与えます。示談が成立していることを理由に不起訴処分となったり、厳しい刑罰を回避できたりする可能性が高まります。

本コラムでは、刑事事件における示談の重要性を、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。示談成立の効果や示談交渉の流れなどもあわせて詳しく紹介していきましょう。

1、刑事事件における「示談」とは?

「示談」という用語は、刑事事件に限らず日常生活におけるさまざまなトラブルのなかでも登場します。
まずは示談の意味を正しく理解しておきましょう。

  1. (1)「示談」の意味

    「示談」を辞書で調べると「物事がまとまるように相談すること、話し合いで解決すること」といった意味だとされています。つまり「示談」とは、一般的に、争いごとやトラブルについて、当事者双方の話し合いによって解決することだといえるでしょう。

    たとえば、誤って他人の持ち物を壊してしまった場合に、当事者同士で話し合いを行って解決をしていくことは典型的な示談といえます。また、交通事故の加害者が加入している保険会社が、加害者に代わって治療費や慰謝料などの支払いについて、被害者に金額を提案するのも、典型的な示談のかたちだといえます。

  2. (2)刑事事件における「示談」の意味

    前記の一般的な意味合いもふまえると、刑事事件における「示談」とは、検察や裁判所といった公的機関を介入させずに、加害者である被疑者と被害者がお互いに話し合って当事者間での事件解決をすることといえます。

    被疑者は、被害者に対し自身の犯罪行為を真摯に謝罪したうえで、損害賠償金や慰謝料としての性格をもつ「示談金」の支払いをするなどして許しを請います。そして被害者に、その謝罪及び示談金の支払いを受け入れ、被疑者を許し、場合によっては被害届や刑事告訴を取り下げるといった対応をお願いすることになります。

    他人に与えてしまった損害の賠償や精神的苦痛に対する慰謝料は、民事における責任であり、これによって刑事責任を果たしたことにはなりません。しかし、損害賠償や慰謝料の支払いがされたということは、被疑者によって侵害された法益が事後的に回復したことを示すものといえますし、被害者からの許しを得ているのであれば被害者の被疑者に対する処罰意思もないということになりますので、被疑者に重大な刑罰を科す必要がないという判断に傾きます

    そのために、示談が成立し被害者に対する示談金の支払がなされたという事実が、刑事事件における処分の判断に大きな影響を与えることになるのです。

2、被害者がいる事件では示談の成否が重要

刑事事件のなかでも、とくに特定の被害者が存在する事件を起こしてしまった場合は、示談の成否が処分の重さに大きな影響を与えます。

ここでは、示談成立の効果や示談により有利な処分が期待できる犯罪、示談そのものが困難な犯罪を確認していきましょう。

  1. (1)「示談成立」の効果

    事件の当事者同士が話し合いを進めることを「示談交渉」といい、交渉の結果、双方が合意に達すれば「示談成立」となります。この際に、被害者からの被害届や刑事告訴の取り下げについても合意があれば、被害者として捜査の継続も被疑者の処罰も望まないという意思表示になります。

    被害者が被疑者の処罰を望む意思を示すか否かにかかわらず、被疑者の犯罪行為が後述の「親告罪」にあたらない限りは、刑事手続を進めることが可能です。

    もっとも、被害者にとっても、詳しい事情聴取や被害状況の再現見分などへの協力は大きな負担になりえます。被害者が処罰意思をもたない以上、大きな負担を強いる協力は期待できないと考え、示談成立をもって捜査が打ち切られる場合もあります。

    被害者の刑事告訴がないと検察官が刑事裁判を提起できない「親告罪」にあたる事件、たとえば名誉毀損罪や侮辱罪では、被害者が刑事告訴を取り消すことで検察官は被疑者を起訴することができなくなりますので、刑事手続きを進めることはできなくなります。

  2. (2)示談により被疑者に有利な処分が期待できる場合

    示談によって被疑者に有利な効果をもたらす可能性があるのは「被害者が存在する事件」です。

    被害者が存在する事件としては、窃盗罪・詐欺罪・横領罪・恐喝罪などのように他人の財産を侵す犯罪や、暴行罪・傷害罪のように他人の身体に危害を加える犯罪、強制わいせつ罪や強制性交等罪などの性犯罪、名誉毀損罪や侮辱罪といった名誉・信用にかかわる犯罪などがあります。

    財産・身体・名誉などの自由や権利は、原則として個人がその処分を決定することができるものですので、これらの権利を侵害された被害者が被疑者の刑事処罰について、どのような意思を有しているのかは、検察官が被疑者の処分を決定するにあたり非常に重視されることになります。

    したがって、示談がなされることによって、被疑者にとって有利な処分となる可能性があります。

    もっとも、上記のような場合も、名誉毀損罪や侮辱罪などの親告罪でない限りは、示談成立をもって直ちに不起訴処分等の有利な処分が期待できるとは限りません。

    たとえ被害者が許しても、被害の甚大性や、強い社会的批難を受けるべき重大事件であるなどの理由から刑罰を与える必要があると検察官が判断すれば、通常どおり起訴されたうえで、重い処分を受けることもあり得ます

  3. (3)示談そのものが困難な場合

    たとえば、贈賄罪や収賄罪、文書偽造罪、公務執行妨害罪などは、国家・社会・公務といった公益を保護する犯罪なので、犯罪の性質上、示談そのものが困難です。

    また、覚醒剤や大麻に関する取締法違反は、もともと被害者が存在しないため示談による解決は不可能です。

3、示談交渉の基本的な流れ

刑事事件における示談はどのように進めていけばよいのでしょうか。示談交渉の基本的な流れとポイントを確認していきます。

  1. (1)被害者情報の入手

    示談交渉を始めるにあたって最初に必要となるのが、被害者の情報です。

    被害者と被疑者が顔見知りであれば、被害者の住居や氏名、連絡先を知ることはできるでしょう。
    問題となるのは、たとえば通りすがりの相手などが被害者となったケースです。このような相手が被害者となった場合は、被疑者としては、どこの誰と示談交渉を進めればよいのか、どうやって連絡を取ればよいのかもわかりません。
    被害者の情報は捜査機関が握っているので、捜査機関に「被害者に謝罪・賠償したい」とはたらきかけて被害者情報を入手する必要があります。この時、被疑者が直接、捜査機関にはたらきかけたとしても、被害者が被疑者に自身の個人情報を知られることをおそれて、被害者の連絡先等の情報を教えてもらえないことがほとんどかと思われます

    その場合でも、被疑者の弁護人として弁護士が捜査機関にはたらきかけると、弁護士限りという条件で教えてくれる被害者も多くなります。

  2. (2)示談に向けた申し入れ

    被害者に対して、自らの謝罪の意思を伝えて、示談に向けた申し入れをおこないます。
    その際、たとえ被害者がどこの誰なのかが判明していたとしても、被疑者本人が直接連絡をすると、相手の恐怖心や警戒心を煽ってしまうことが考えられますので、被害者への連絡は、被疑者の弁護人として弁護士がするほうが安全といえます。

  3. (3)示談交渉

    被害者が話し合いを受けいれる姿勢を見せてくれたら示談交渉を始めます。被疑者に対して恐怖心や嫌悪感を持っていて、被疑者とは会いたくないし、話もしたくないと思っている被害者も大勢います。ですので、示談交渉をスムーズに進めるためにも、弁護士に一任するのが賢明といえます。

  4. (4)示談書の取り交わし

    交渉の結果、お互いが条件に合意したら示談成立です。口頭で約束を交わすだけでは客観的な証拠が残らないので、合意内容をまとめた「示談書」を作成し、取り交わします。

    示談書には、被害者が被疑者を許す意思を示した「宥恕(ゆうじょ)」の一文や、示談金の支払いをもってその後は損害賠償金などを請求しないという「清算条項」などを盛り込むことが一般的です。
    示談書に記載される内容によって、その効果が異なってきますので、示談書の作成も経験豊富な弁護士にまかせたほうが安全です

    完成した示談書2通に被害者・被疑者が署名・押印したら、お互いが一部ずつ保管します。
    示談金の支払が必要な場合には、被疑者は、約束の期日までに指定された方法で支払います。

  5. (5)被害届・刑事告訴の取り下げ

    被害者が被害届や刑事告訴の取り下げにも同意したのであれば、被害を申告した警察署の担当者に示談成立を伝えて、被害届や刑事告訴を取り下げます。

    警察や検察の方針によっては、捜査は終結とするものの事件や示談の経緯を明らかにするために取り調べをおこなう場合もありますが、取調べを行うことなく警察限りで事件を終結し、検察官には送致しない「不送致」として処理されることもあります。

    すでに検察官に送致されている場合でも、示談成立を理由に不起訴処分となる可能性があります。また、仮に起訴されたとしても、示談成立という事実が刑の重さを判断するに際して被疑者の有利にはたらき、厳罰を回避できるということも考えられます

4、安全で効果的な示談を期待するなら弁護士に相談を

刑事事件において示談は被疑者にとって効果的な場合が少なくありません。

ただし、被疑者が個人で対応していると示談交渉が難航しやすくなるだけでなく、示談金などの負担が過度に大きくなってしまうおそれがあります。安全で効果的な示談を実現したいなら、弁護士に相談しましょう。

  1. (1)被害者へのコンタクトを任せられる

    被害者との示談交渉を進めようにも、被害者がどこの誰なのかがわからないと話し合いの機会を設けることさえできません。

    警察や検察は被害者の情報を把握していますが、被疑者から「被害者の情報を教えてほしい」と求められても、被害者が個人情報を伝えることを拒絶していることを理由に断られる可能性が高いです。

    弁護士が捜査機関にはたらきかけた場合には、弁護士限りであればということで被害者が応じてくれて、情報が開示される可能性があるため、被害者にコンタクトをとることが可能となります。

  2. (2)示談交渉の対応を一任できる

    被害者との示談交渉は容易ではありません。被疑者に対して強い憤りや嫌悪を感じている被害者なら、特に示談交渉が難航することが予想されます。

    個人的なトラブルを背景とした事件であれば、当事者同士が顔をあわせると感情的になってしまい話し合いがまとまらないおそれも強いでしょう。示談交渉を安全に進めるには、公平・中立な第三者である弁護士に対応を一任するのが最善です。

  3. (3)示談金などの負担が過度に大きくなる事態を防げる

    被害者のなかには、被害を受けたという立場を悪用して高額な示談金を要求してくる人も存在します。
    弁護士に相談すれば、事件の内容や被害の程度から、過去に起きた同様のケースと照らした適正な金額を提示して、損害賠償金や慰謝料を含めた示談金の負担が過度に大きくなる事態を防ぐことが可能です

5、まとめ

刑事事件において「示談」が成立すれば、刑事処分として不起訴処分となったり、厳しい刑罰を回避できたりする可能性があります。

ただし、被害者との示談交渉は決して容易ではありませんし、被疑者が個人で進めようとしても被害者の情報さえも入手できなかったり、示談が成立しても過度に高額な示談金の支払いを強いられてしまったりするおそれもありますので、個人での対応は困難です

被害者との示談を安全かつ効果的に進めるには弁護士のサポートが欠かせません。刑事事件を起こしてしまい、被害者との示談成立を望むなら、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスにご相談ください。数多くの刑事事件を解決してきた経験豊富な弁護士が、円満な示談成立をバックアップします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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