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置き引きをしてしまった。示談交渉するにはどうすれば良い?

2023年03月30日
  • 財産事件
  • 置き引き
  • 示談
置き引きをしてしまった。示談交渉するにはどうすれば良い?

錦糸町が管轄エリアの本所・向島警察署がまとめた「墨田区における交通事故・犯罪発生概況」によると、令和4年5月末における犯罪の認知件数は771件で、前年の702件を大きく上回る数字でした。とくに不法な侵入を伴わない「非侵入窃盗」が顕著に増加しています。

「置き引き」は、非侵入窃盗のひとつとして、持ち去った財物が所有者等の占有を離れていなかった場合には刑法第235条の窃盗罪に問われ、占有を離れていた場合には刑法254条の占有離脱物横領罪に問われます。

本コラムでは「置き引き」をしてしまった場合に重要となる「被害者との示談交渉」の進め方やその効果、弁護士に依頼すべき理由などを、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、「置き引き」とは? 示談が成立すれば罪に問われないのか?

まずはどのような行為が「置き引き」にあたるのかを確認したうえで、示談がどのような効果をもたらすのかを解説します。

  1. (1)置き引きとは

    「置き引き」と言われて想像するのは、たとえば、駅や公園のベンチに置き去りにされたバッグを持ち去った、パチンコ店の遊技台に置き去られた財布をみつけて中のお金を持ち去ったといったケースでしょう。

    実は「置き引き」という犯罪は刑法には規定されていません。しかし、先に述べたように、所有者等の占有下にある財物を持ち去った場合には刑法第235条の窃盗罪にあたりうるし、占有を離れた財物を持ち去った場合は刑法254条の占有離脱物横領罪にあたりうる行為になります。

    窃盗罪に当たる場合、法定刑に従い10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

    一方、占有離脱物横領罪に当たる場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料が科せられるおそれがあります。

    置き引きがどちらの罪に問われるかは、所有者等の「占有」が失われているか否かが重要な判断要素の1つとなります。そして、「占有」とは物を事実上支配している状態のことをいい、占有の事実という客観的要件と占有の意思という主観的要件を総合して判断されます。

    たとえば、財物を置き去りにして所有者がその場を離れたとしても、所有者の離れた場所が財物に近接していた、離れてから置き去りに気づくまでの時間が短いなどの事情があると、所有者の占有は失われないと考えられています。

    一方で、所有者が財物を置き去りにして相当な時間が経っていたり、すでに遠く離れた場所で所有者が置き去りに気づいたりした場合などは、物を事実上支配していると評価されずに所有者の占有は失われると考えるのが通説です。

  2. (2)置き引き事件における示談の効果|窃盗罪・占有離脱物横領罪は「財産犯」

    置き引き事件などの財産犯においては、被害者との「示談」がその後の刑事処分における判断に大きな影響を与えます。示談とは、裁判所手続きを用いずにトラブルの当事者同士が話し合って解決することを指します。

    具体的には、加害者は、被害者に対し、犯罪の被害を与えたことを真摯に謝罪したうえで、実際に与えた損害や精神的苦痛に対する慰謝料などを含めた示談金を支払い、被害者から「罪を許し、罰を望まない」といういわゆる宥恕文言をもらうことを目指します。そして、示談が成立すれば、加害者は民事的な賠償を尽くしたと評価されます

    示談交渉の結果はあくまでも民事的なものであり、刑事事件において「示談成立=罪を問われない」とは断言できないという点は心得ておきましょう。

    もっとも、そもそも、置き引きを含め窃盗罪や占有離脱物横領罪は犯罪の対象物が金品などの財物となるので「財産犯」と呼ばれる犯罪です。財産犯にあたる罪は財産的な損害が賠償されれば「実害は解消された」ともいえます。また、宥恕文言をもらっていれば被害者の加害者に対する処罰意思もないということになりますので、刑事処分として「起訴猶予=不起訴」の判断がくだされる可能性は高まります

2、示談交渉の進め方

被害者との示談交渉はどうやって進めていけばよいのでしょうか。全体の流れを見ながら示談交渉の進め方を確認していきます。

  1. (1)被害者に連絡する

    まずは被害者に対して「示談をしたい」という申し入れをするために連絡を取ります。電話をかける、文書を郵送するといった方法が一般的ですが、知人間なら謝罪を兼ねて自宅を訪問するなどしたうえで示談を申し入れるといった流れも考えられるでしょう。

    被害者の住所や電話番号がわからない場合は、警察などの捜査機関にはたらきかけて情報を入手することになります。

    ただし、被害者保護や個人情報保護の観点から、捜査機関がもっている情報を直接加害者に開示されない可能性も高いので、弁護士を通じてはたらきかけるのがよいでしょう。

  2. (2)示談の条件を話し合う

    実際の示談交渉で大切なのは、まず真摯に謝意を伝えることです。言い訳や責任逃れと思われてしまうような発言・態度は避けて、謝罪と深い反省を示しましょう。

    次に重要なのが条件面の交渉です。加害者側が示すのは、おもに、支払う示談金の額、事件や示談の内容は他言しないといった点になるでしょう。

    これに対して被害者側は、たとえば被害届の取り下げや刑事告訴の取消しを含めて刑事処分を求めない方針を示すことで応えるかたちが考えられます。

    置き引き事件においては、とくに示談金の額が問題となるケースが多数です。実際に置き引きした金額や物の時価に加えて、被害を与えたことについての慰謝料を含めた交渉になるので、なかなか折り合いがつかないといった事例も少なくありません。

  3. (3)条件に合意したら示談書を交わす

    加害者・被害者の双方が示談の条件に合意したら「示談書」を作成します。同じものを2部用意し、双方が署名・押印した原本をそれぞれ1通ずつ保管するのが一般的です。

    加害者側は、示談書に「宥恕(ゆうじょ)」のくだりが盛り込まれているかという点をとくに注意しなければなりません。宥恕とは「許す」という意味で、示談書に「加害者への処罰は望まない」旨の一文がないと単に賠償についての話し合いをしただけという内容になってしまいます。

  4. (4)条件を履行する

    示談書を交わしたら、お互いが示談の条件を履行します。加害者は示談金を支払って賠償を尽くし、被害者は警察への届出を取り下げるなどといった行動を起こして約束を果たします。

    加害者側としては、示談金を支払った証明として被害者が交付した領収証や銀行の振込明細などを保管しておかなければなりません

3、示談交渉は弁護士に依頼するべき? 自分でも可能?

置き引き事件を起こしてしまい、被害者との示談交渉を行いたいと考えたとき、示談交渉をどのように進めていくのがよいのでしょうか。弁護士に依頼するべきなのか、それとも自分で進められるのか、解説します。

  1. (1)示談交渉を自分で進めること自体は可能

    まず前提として、示談交渉は弁護士を介さず自分自身で進めることも可能です。むしろ、加害者はトラブルの当事者であり、当事者として自分自身が示談交渉を進めるべき立場だといえるでしょう。

  2. (2)安全な示談交渉を望むなら弁護士に依頼するべき

    示談交渉を自分で進めることは可能ですが、安全で実りのある示談を望むなら弁護士に依頼したほうがよいです。

    示談交渉を進めるためには、刑事事件の流れや、事件の内容に応じた適切な示談金の相場や算定方法など、深い知識を要します。自分自身で示談交渉を進めた場合、宥恕文言をもらって示談をしたつもりが示談書としては単に被害弁済を尽くしただけのかたちになってしまったり、過度に高額な示談金を支払うことになってしまったりするかもしれません。

    また、被害者のなかには、加害者との示談交渉に一切応じるつもりがない方もいます。加害者自身が何度も「示談したい」と連絡していると、被害者が警察に「脅されている」と相談し、別の事件として立件されてしまう危険もあるでしょう。

    このような点を考えると、被害者との示談交渉は弁護士にすべてまかせたほうが安全です。

4、示談が成立すればすぐ解決? 示談後の流れ

示談が成立すると、その後はどのような流れで事件終結に向かうのでしょうか?

  1. (1)早い段階なら警察限りで事件が終結する可能性もある

    刑事事件を認知した警察は、捜査が終わると検察へと事件を引き継ぎますが、事件を検察へ引き継ぐかどうかの判断は警察に委ねられています。警察が捜査をしている間に示談を成立させることができれば「すでに当事者間では解決した」として警察限りで事件が終結し、検察へ引き継がれない可能性があります。

  2. (2)逮捕・勾留されている場合は釈放が期待できる

    刑事事件には、被疑者を逮捕・勾留して身柄を拘束したうえで捜査を進める「身柄事件」と、被疑者を逮捕・勾留せずに捜査を進める「在宅事件」があります。

    身柄事件の場合、逮捕の効力が最大72時間、逮捕に続く勾留の効力が最大20日間で、合計すると最大23日間にわたる身柄拘束を受けるので、その悪影響は計り知れません。

    示談が成立して被害者が「加害者を罰する必要はない」という意向であることが明らかになれば、刑事処罰に向けて捜査をしている捜査機関としてもそれ以上被疑者の身柄を拘束しておく必要がなくなるとして、釈放される可能性が高まります。

  3. (3)示談が成立してもかならずしも不起訴になるわけではない

    被害者との示談交渉が、刑事処分を不起訴(=起訴猶予)にする有効な手段であることは間違いありません。

    ただし、示談成立=不起訴とはいえないという点には注意が必要です。先にも触れたとおり、示談はあくまでも加害者と被害者が法的手続きの外でおこなう民事的な「話し合い」に過ぎません。

    たとえば、前科・前歴や余罪が多数であったり、弁済したとはいえ被害額が高額であったりすると、たとえ示談が成立していても検察官が起訴処分の判断をして刑事裁判となってしまうおそれがあります。

    もっとも、財産犯事件においては示談が成立すれば検察官が不起訴処分の判断をして刑事裁判としない傾向が比較的強いのは事実です。加害者にとって有利な事情を積み重ねるためにも、積極的に被害者との示談交渉を進めていくのが最善でしょう。

5、まとめ

「置き引き」は誰かが置き去りにした金品などに手を付ける犯罪です。

もし置き引きをしてしまった場合、逮捕・勾留や厳しい刑罰を避けて穏便に解決するには被害者との示談を進めるのが最善です。

ただし、加害者本人やその家族が直接示談交渉を進めるのは決して簡単なことではありません。真摯に謝罪し、示談を申し入れているつもりでも、被害者に「脅されている」と誤解されて別のトラブルに発展してしまうおそれもあります。

置き引き事件を起こしてしまったものの、できるだけ穏便に解決したいと望むなら、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、被害者との示談交渉を含めて逮捕・刑罰の回避を目指し全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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