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手紙を勝手に開封・捨てると罪? 信書隠匿罪の刑罰や逮捕の可能性について

2022年04月28日
  • その他
  • 信書隠匿罪
手紙を勝手に開封・捨てると罪? 信書隠匿罪の刑罰や逮捕の可能性について

インターネットによる通信が盛んになった現代でも「手紙」が重宝される機会が失われたわけではありません。情報通信白書によると、2020年度の引受郵便物の総数はおよそ152億通・個で、年々わずかながら減少しているものの膨大な数の郵便物が届けられている状況です。加えて、インターネット通販・フリマアプリなどの発達で、商品を安価で配送できる手段として郵便の利用が増えています。

郵便物には、重要な個人情報が含まれていることも多いため、勝手に捨てられたり、無断で開封されて中身を見られたりすれば、受取人にとって大きなダメージとなります。そこで、郵便物について「無断で開封する」「勝手に捨てる」などの行為をはたらいた者は、法律によって厳しく処罰する旨が定められています。

本コラムでは、手紙などの信書に関する罪として、特に「信書隠匿罪」に注目しながら、成立する要件や科せられる刑罰、逮捕の危険度などをベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。

1、他人の手紙を勝手に捨てると「信書隠匿罪」

  1. (1)信書隠匿罪とは?

    ちょっとした嫌がらせやいたずらのつもりでも、他人の手紙を勝手に捨てたり隠したりすると信書隠匿罪が成立します。

    信書隠匿罪は、刑法第263条に定められています。処罰の対象となるのは「他人の信書を隠匿した者」です。

    ここでいう「信書」とは、人が人に対して意思を伝達するための文書という意味で、手紙・書状・請求書や納品書などを含みます。また、本罪では信書の形状を問わないので、封をしている封書・封筒だけでなく、はがきも含まれます。

    ただし、人に意思を伝え終えた文書は信書としての役割を終えるため、信書に含みません。つまり、信書隠匿罪においては「まだ受取人が内容を確認していない段階」でなければ信書とはいえないことになります。

    「隠匿」とは、単に隠すという行為だけでなく、信書の効用を害する一切の行為を含むと考えるのが通説です。信書としての役割を果たせなくなれば隠匿に含まれるため、捨てる・破るなどの行為も該当します

  2. (2)信書隠匿罪で科せられる刑罰

    信書隠匿罪で科せられる刑罰は、

    信書隠匿罪
    6か月以下の懲役もしくは禁錮、または10万円以下の罰金もしくは科料


    と、定められています。

    ほかの悪質な犯罪と比べると法律が予定している刑罰としては軽度です。とはいえ、懲役・禁錮によって刑務所に収監されてしまう危険もあると考えれば、決して軽視できるものではないでしょう。

2、手紙を無断で開封すると「信書開披罪」

  1. (1)信書開披罪とは?

    友人や恋人のプライベートな部分をのぞいてみたいといった理由で、無断で手紙を開封すると、信書開披罪に問われるおそれもあります。

    信書開披罪は、刑法第133条に定められている犯罪です。正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者を処罰の対象としています。

    「信書」の考え方は信書隠匿罪と同じですが、本罪ではさらに「封」という要件が加わっているので、封書・封筒・圧着式のはがきなどが対象です。

    「開ける」とは、封を切る・破るなどによって内容を確認できる状態にすることを意味します。

    本罪で問題になりやすいのは「正当な理由」の存在です。ここでいう正当な理由にあたるのは、2つのパターンが考えられます。

    • 信書の権利者が開封に同意している場合
    • 法令によって開封が認められる場合


    権利者の同意があれば、本罪に問われることはほとんどないでしょう。問題になりやすいのは、法令によって開封が認められる場合です。

    たとえば、未成年の子どもあてに送られてきた信書は、子どもの監護・教育の権利で許される範囲内で、親権者による開封が許されます。

    一方で、配偶者、成人した子どもにあてられた信書を無断で開封した場合は、夫婦で通っている店からのセールの案内などのように無断で開封しても問題ないような場合を除き、正当な理由が存在しないと考えられます友人・知人・恋人なども同様です。つまり、信書開披罪は、親しい関係にあっても成立しやすい犯罪だといえます。

  2. (2)信書開披罪で科せられる刑罰

    信書開披罪で科せられる刑罰は、以下の通りです。

    信書開披罪
    1年以下の懲役または20万円以下の罰金


    信書開披罪は、刑法第13章の「秘密を侵す罪」に含まれるため、単に信書の封を開ける行為そのものよりも「秘密を守る」という点を主眼とした犯罪です。一方で、信書隠匿罪は信書の「財産性を守る」という目的をもっています。

    信書開披罪の方がより重い法定刑になっていますが、信書に関する罪は親告罪であるというのも特徴です。この点は大きなポイントとなるので、次章でしっかり確認しましょう。

3、信書に関する罪は親告罪

  1. (1)親告罪とは?

    親告罪とは、検察官が刑事裁判を提起する際に、被害者による「告訴」を要件としている犯罪を指します。

    このような規定が設けられているのは、以下のような理由があるといわれています。

    • 捜査や刑事裁判の過程で被害者のプライバシーがさらされたり、つらい被害を想起したりといった二次被害が予想される犯罪であるため
    • 謝罪や弁済などによって解決できる程度の軽微な犯罪であるため
    • 親子・親族間など、話し合いなどによる解決が望まれる犯罪であるため
  2. (2)親告罪事件の特徴|告訴がないと起訴されない

    親告罪にあたる事件では、検察官が起訴する際に被害者の告訴を要します。つまり、被害者が告訴しない限り刑事裁判が開かれないので、加害者は刑罰を科せられません。

    たとえ被害者が告訴して刑事裁判に発展しても、判決の日までに被害者が告訴を取り消せば事件はその時点で終了です。

    また、親告罪事件には「告訴期間」が存在します。被害者は、犯人を知った日から6か月を過ぎると告訴できません。

    信書隠匿罪と信書開披罪の公訴時効はいずれも3年ですが、公訴時効が過ぎていなくても告訴期間を過ぎると事件化できなくなります

4、信書隠匿罪で逮捕される可能性と、逮捕後の流れ

  1. (1)信書隠匿罪で逮捕される割合

    信書隠匿罪で事件化されても、必ず逮捕されるわけではありません。逮捕は「逃亡または証拠隠滅をはかるおそれ」があるときに限って認められる強制処分だからです。

    検察統計をみると、令和2年中に信書隠匿罪を含む「毀棄・隠匿の罪」で検察庁が処理した7986人のうち、逮捕された人員は3166人(39.6%)でした。

    詳しい内訳は不明ですが、毀棄・隠匿の罪ではおよそ3人に1人しか逮捕されていないことになります。

  2. (2)逮捕後の流れ|身柄拘束されて刑事裁判を受ける

    警察に逮捕されると、警察の段階で48時間以内、検察官の段階で24時間以内、合計で最長72時間の身柄拘束を受けます。

    さらに、検察官が勾留を請求して裁判官がこれを許可すると、最長20日間の勾留による身柄拘束が続きます。逮捕から起訴・不起訴が判断されるまでに受ける身柄拘束は、最長で23日間です。

    なお、検察官が起訴に踏み切って被告人として身柄拘束が続く場合は、保釈されない限り刑事裁判が終わるまで釈放されません。

5、自首すれば逮捕されない?

  1. (1)自首とは?

    自首とは、みずからが犯した罪について、事件や犯人が捜査機関に発覚するよりも前に申告し、みずからの処罰を求める手続きです。

    同じような行為として出頭がありますが、出頭はすでに認知されている犯罪や特定された被疑者が警察署や交番などにみずから出向くことを指します。

    信書隠匿罪にあたる行為をはたらいた自覚があり、逮捕を回避したいと考えているなら、自首も解決策のひとつとして有効でしょう。

  2. (2)自首で得られる効果|逮捕の回避や刑が減軽される

    罪を犯した本人が捜査機関に出向いて処罰を求めれば「逃げたり、証拠隠滅を図ったりすることはない」という意思を示すことにつながります。逮捕の要件である「逃亡・証拠隠滅を図るおそれ」が否定されるため、逮捕される可能性は軽減されるでしょう。

    また、刑法第42条1項によると、有効な自首が成立した場合は「その刑を減軽することができる」と定められています。さらに同条2項には、親告罪について「告訴権者に対して自己の犯罪事実を告げてその措置をゆだねたとき」も、同様の措置が取られると明記されています。

    減軽が適用されると、法定刑の上限や下限が2分の1に減じられるので、結果として刑事裁判で言い渡される刑罰が軽くなる可能性があります。

    ただし、たとえ自首しても捜査機関が「重罪をおそれて逃亡・証拠隠滅を図るおそれがある」と判断し、逮捕に踏み切る危険は否定できません。また、自首による減軽は裁判官の裁量に委ねられているため、必ず適用されるわけでもありません。

    自首が有効な状況なのか、自首による有利な措置は期待できるのかといった疑問は、弁護士への相談をおすすめします

6、まとめ

他人あての郵便物を捨てたり、隠したり、無断で開封したりといった行為は、すべて犯罪です。ほかの犯罪と比べれば重罪とはいえないものの、懲役や禁錮によって刑務所に収監されてしまう危険もある犯罪なので、軽視してはいけません。

ただし、信書隠匿罪と信書開披罪は、いずれも親告罪に規定されており、被害者の告訴がなければ刑罰を科せられない犯罪です。つまり、容疑をかけられてしまっても、被害者との間で示談が成立すれば刑罰の回避が期待できます。

信書隠匿罪などの行為をはたらいてしまい逮捕や刑罰に不安を抱えているなら、早期にベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、事件の円満解決に向けて全力でサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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