無人販売所で餃子を万引きすることは窃盗罪。逮捕の可能性は?
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近年、本格的な餃子(ギョーザ)を販売員と対面せずに購入できる無人販売所が増えています。墨田区内でも、向島エリアや錦糸町エリアに無人販売所がオープンして人気を集めていますが、全国のニュースに目を向けると無人販売所における万引き事件の報道が後を絶ちません。
容疑者として特定されて逮捕された事例もあるため、「販売員がいないから」「誰も見ていないから」といって代金を支払わず商品を持ち帰ると窃盗罪に問われる可能性があることを心がけておきましょう。
本コラムでは、餃子などの無人販売所で万引きした場合に問われる罪や逮捕の可能性などについて、ベリーベスト法律事務所 錦糸町オフィスの弁護士が解説します。
1、餃子の無人販売所で万引きして逮捕された実例
餃子などの無人販売所には、「無人」という名前の通り、基本的に販売員がいません。
好きな商品を陳列ケースから手に取り、客自身が精算して代金を支払って購入が完了するというシステムになっています。
客の利便性と経営コストの削減という両面から人気を集めているシステムであり、街頭には餃子をはじめとしたさまざまな商品の無人販売所が開店しています。
無人販売所は、販売員などによる監視の目はありませんが万引き行為が発覚する可能性は十分にあります。
以下では、餃子の無人販売所で万引きをして警察に逮捕されてしまった実例を紹介します。
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(1)カップルが餃子8パックなどを盗んで逮捕
令和4年6月、無人販売所で餃子8パックなど合計13点・1万1500円相当を盗んだ疑いで、20代の男女が逮捕されました。
2人は交際関係で「お金がなく、食べ物が買えなかったので盗んだ」など、容疑を認めたとのことです。
この事件では、犯行から6日後に容疑者の男女が逮捕されました。
もし万引きをした時点では発覚しなかったとしても、防犯カメラに記録された映像などから容疑者として特定されて後日に逮捕されてしまう可能性があるのです。 -
(2)張り込んでいた警察官に見つかって現行犯逮捕
令和5年5月、無人販売所で餃子2箱などを万引きした容疑で、50代の男が逮捕されました。
被害に遭った無人販売所では同年3月ころから万引き被害が発生しており、届出を受けて張り込んでいた警察官に発見されて現行犯逮捕されたという経緯です。
2、無人販売所における万引き対策
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(1)人目につきやすい立地を選んで出店している
無人販売所の多くは、人通りが多く目立つ立地に出店しています。
買い物客の目につきやすく利用しやすい、というビジネスとしての必要性だけでなく、人目につきやすいことで万引きしにくいという防犯対策としての効果もあります。
また、大きなガラス張りで外からでも店内が見えやすくしたり、明るい照明を設置するなどの方法で、心理的に万引きを抑止する対策も取られています。 -
(2)高性能防犯カメラでの常時監視
無人販売所には万引き対策として高性能の防犯カメラが設置されていることが多く、店内を常時監視しています。
このような高性能の防犯カメラの場合、「どの商品を何個手に取ったのか」「未精算のままになっている商品がないか」といったポイントも映像として精細に記録されるため、万引きをすればその様子が証拠として残る可能性が非常に高いといえます。
もっとも、店内の防犯カメラに映像が記録されただけでは、映像の人物が誰でどこに住んでいるのかなどまでは分からないことが大半です。しかし、店外に出たあとの行動を、街頭の防犯カメラなどで追いかけることにより、個人を特定する情報を取得できる可能性があります。
また、人相・着衣などの情報から、再度の来店時にまた万引きをしないか監視され、場合によっては張り込みをされるなどをされてしまう可能性もあります。
3、無人販売所での万引きはどんな罪になる?
代金を支払わずに商品を持ち去る行為は、一般的には万引きと呼ばれ、「窃盗罪」にあたります。
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(1)万引きは「窃盗罪」の手口のひとつ
万引きには、刑法第235条の「窃盗罪」が適用されます。
窃盗は、場所・方法・目的物などで「手口」による分類がなされている犯罪で、万引きもそのひとつです。具体的には、店舗で陳列されている商品を、代金を支払わずに盗む行為などが万引きとなります。
ほかにも、空き巣・訪問盗・事務所荒らし・出店荒らし・車上ねらい・自販機ねらい・置き引き・自動車盗・自転車盗などさまざまな手口がありますが、適用される罪名はすべて「窃盗罪」です。 -
(2)窃盗罪に科せられる刑罰
窃盗罪の刑罰は10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
万引きを繰り返しており前科や前歴がある、高額の被害が発生している、複数人で計画的犯行におよんでいるなどの事情があれば、厳しい処分が下される可能性があります。
4、万引きをしてしまい逮捕が不安なら弁護士に相談しよう
無人販売所で万引きを犯せば、店内の防犯カメラによって犯行の状況が鮮明に記録されている場合があります。
防犯カメラの映像やほかの証拠を照合した結果、身元が特定されて逮捕されたり、厳しい刑罰を受ける事例も少なくありませんが、弁護士であれば、こうした不利益を避けるための活動をすることができます。
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(1)被害者との示談交渉を一任できる
万引きを犯してしまったとき、事件を穏便に解決できるもっとも有効な対策が「被害者との示談交渉」です。
裁判などの法的な手続きに頼らず、当事者同士が話し合いによって解決するもので、万引きの場合は加害者が被害者に対して真摯(しんし)に謝罪したうえで、商品の返還や買い取り、商品代金分の弁償をおこない、許しを請います。
ただし、警察による「万引きの全件届け出」の推奨を受けている現状では、加害者が個人で話し合いの機会を設けても相手にされないかもしれません。
ほかの万引き犯への警鐘も含めて強い姿勢を崩さない経営者も少なくないので、弁護士に交渉を任せたほうが安全です。 -
(2)不起訴などの有利な処分が期待できる
窃盗罪のような財産犯については、示談によって被害者が犯人を許し、被害が弁償されたという事実が、処分に大きな影響を与えます。
示談の成立やそのほかの事情を考慮して、証拠を隠滅したり、逃亡したりするおそれもないと判断されれば、逮捕される可能性が低くなりますし、検察官も示談成立を理由として「不起訴」処分を選択する可能性があります。不起訴になれば刑事裁判は開かれないので、刑罰を受けることもありません。
また、検察官による起訴が避けられない場合は刑事裁判が開かれますが、すでに被害者に対する謝罪と弁償を尽くしているという事情が有利に評価され、刑罰が軽い方向へと傾く可能性も高まります。
ほかにも、加害者本人の深い反省を示す、家族の監督を強化して再犯を防止するといった対策をし、刑事裁判でそれを主張していくことによって、処分が軽減されることもありますので、こうした活動を行うためにも、ただちに弁護士に相談してサポートを受けましょう。
5、まとめ
無人販売所での万引きは、刑法の窃盗罪による処罰の対象となります。
万引きといえば軽微な犯罪であると考える方もおられますが、実際には、数年の懲役に処される可能性もある重罪です。
したがって、もし万引きをしてしまったら、罪を軽減するための対応を逮捕される前から積極的に行うのが望ましいといえます。
無人販売所において万引きをしてしまい、逮捕や厳しい刑罰に不安を感じているなら、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、経営者との示談交渉などの弁護活動を通じて、円満な解決を目指します。
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